創業以来、時計の本質と新たな可能性を追求してきたシチズンが、常に取り組んできたもののひとつ。それが、精度への挑戦です。
1924年「CITIZEN」と命名された初代懐中時計を開発。1973年にシチズン初の月差± 10秒のクオーツ時計を、1975年には世界初の年差±3秒のクオーツ時計「クリストロン メガ」を発表。その後、光発電「エコ・ドライブ」と組み合わせることで、私たちは、より正確で、より長く駆動する時計をつくり続けてきました。
そして100周年を迎える今年、私たちがたどり着いたのが、世界でもっとも正確な時を刻み続ける*年差±1秒の超高精度エコ・ドライブムーブメント「Calibre 0100」です。
電波塔や人工衛星から時刻情報を受信することなく、時計内部の機構だけで、自律的に正確な時を刻み続ける。それは、水晶のように、純粋で、混じりけのない、研ぎ澄まされた“純度の高い1秒”を秒針が刻み続けるということ。
何ものにも頼らず、どこにいても、どんな状況でも、強い意志を持ち続ける人のように、自らのリズムで正確に刻み続ける時計であるということ。
「Calibre 0100」から、シチズンが切り拓く、腕時計の新しい100年がはじまります。
* アナログ式光発電時計として。2018年2月当社調べ。
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もうひとつは、姿勢差の影響を受けにくいこと。姿勢変化や腕振りによる重力加速度の変化は、精度にとって天敵です。従来の音叉型水晶振動子は中空で大きく振動するために、時計の置き方を変えるだけでも誤差が生じていました。それに比べてATカット型水晶振動子の振動は微小なため、姿勢差の影響を限りなく小さくできるのです(図2)。
しかしATカット型水晶振動子は、一般的にパソコンなどの大型の精密機器用であり、腕時計のムーブメントに使用されることはほとんどありませんでした。そこで私たちは素材の選定から設計、調整までを繰り返し、腕時計のムーブメント専用のATカット型水晶振動子を独自で開発しました。「Calibre 0100」は、パーツ製造から完成時計の組み立てまでを行う、マニュファクチュールのシチズンだから開発できたと言っても、過言ではありません。
さらに「Calibre 0100」では、クオーツ時計の頭脳ともいえるIC回路にも独自の技術を注ぎ込みました。たとえば、1分ごとに温度をモニタリングし、温度変化によって生じる水晶振動子の周波数の変化を補正する「温度補正機能」を搭載。さらに水晶振動子が持つ温度特性には個体差があることから、一つひとつの水晶振動子に対して行う温度計測のポイントを従来の2倍に増やし、よりリアルな近似値データを補正システムにプリセットすることで、極めて細かな誤差の補正をも可能にしました。
また、衝撃を受けると瞬間的にローターをロックして、針ズレを防止する「衝撃検知機能」や、一定時間ごとに針の位置をチェックし、ズレを確認すると自動的に針を正しい位置に戻す「針自動補正機能」なども搭載。万一の際にも正確な時を刻み続ける超高精度な時計を実現しました。
従来の音叉型水晶振動子の周波数が32,768Hzなのに対して、ATカット型水晶振動子は、8.4MHz(8,388,608Hz)と256倍で振動するため、大量の電力を消費します。また温度補正機能や衝撃検知機能なども動かさなくてはなりません。このすべてを、シチズン独自の光発電「エコ・ドライブ」で長時間駆動させるためには、あらゆる面での省電力化が不可欠でした。
私たちは、低電圧で駆動できる回路を自社で独自開発するとともに、ムーブメントの随所に徹底した省電力化を実施。光があるかぎり動き続け、一度のフル充電で暗闇でも6ヶ月駆動するまでに持続性を高めました。
“正確さ”と“持続性”の両立。それは100年もの間、時計の本質を追求するとともに、光発電のパイオニアとしてテクノロジーを進化させてきたシチズンだからできた、腕時計のひとつの可能性なのです。
年差1秒以内の精度で、自律的に時を刻み続ける。それは、純粋で、混じりけのない、研ぎ澄まされた“純度の高い1秒”を、わずかな誤差さえも許さずに、ひたすらに重ね続けていくこと。何ものにも頼らず、どこにいても、どんな状況でも、強い意志を持ち続ける人のように、正確な時を刻み続ける、時計の本質を追求したひとつのカタチ。超高精度エコ・ドライブムーブメント「Calibre 0100」から、腕時計の新しい100年がはじまります。